今ここにある“わたし”を信じる
疑いからはじまる「わたし」との距離
私たちは、いつから“今ここにいる自分”を疑うようになったのでしょうか。
「これで合っているのかな」
「もっと別の道があったんじゃないか」
「本当の私は、まだ見つかっていないかもしれない」
そんなふうに、“いまの私”を信じ切れない感覚を、誰もがどこかで抱えたことがあると思います。
ホリスティックヘルスの視点では、私たちの健康や幸福は、「いま、この瞬間の自己との関係性」に深く関係しています。
過去の後悔や、未来への不安に囚われすぎていると、私たちは“今ここ”の自分とのつながりを見失ってしまうのです。
癒しと成長は「今の私」からはじまる
けれど、癒しや回復、そして成長の起点は、いつも“今の私”にあります。
たとえ未完成でも、揺れていても、「いま、ここにいる私」を感じ、認め、信じることが、本質的な変化を生む第一歩なのです。
でも、「自分を信じる」って、実はとても難しいことです。
それは、努力では手に入りませんし、誰かの承認でも補うことはできません。
むしろ、「信じようとする」ことそのものが、“信じられない何か”を心の奥に感じているという証かもしれません。
信じるためにできる3つの習慣
では、どうすれば“今ここにいる私”を、少しでも信じられるようになるのでしょうか?
まず大切なのは、「否定しないこと」です。
私たちは、完璧であろうとしすぎます。
前向きでいなければ、強くなければ、優しくなければ、愛されなければ……と。
そのたびに、“今の私はダメだ”という内なる声が、気づかぬうちに自己信頼を削っていきます。
でも本当は、どんな自分であっても、今ここに在るだけで、尊くて、ちゃんと意味がある。
まずは、「こう感じている私がいる」「こんな状態の私がいる」という事実を、そのまま認めてあげてください。
次に大切なのは、「比べないこと」です。
私たちはつい、他人の姿と自分を比べてしまいます。
「もっとできる人がいる」「もっとわかっている人がいる」「私はまだこんな程度だ」と。
でも、その人とあなたは、まったく違う道を歩いてきた存在です。
見てきた景色も、経験も、乗り越えてきたことも違います。
あなたは、あなたの道を歩いています。
その一歩一歩は、あなたにしか歩けない道なのです。
そして三つめに、「自分の感覚を尊重すること」。
今、何を感じているのか。
この空気、この光、この感情、この体の感覚。
「感じていること」を信じる力は、自己信頼の土台になります。
他人の言葉や、一般論よりも、“私にはこう感じられる”という内側の感覚を、大切にしてみてください。
小さな言葉が、信頼の種になる
たとえば——
- 誰かの前で緊張している自分に、「それでも私は大丈夫」と声をかけてみる
- 何かに失敗したとき、「そのときの私は、それが最善だった」と受け止めてみる
- 未来が不安なとき、「今の私が、この瞬間をちゃんと生きている」と思い出してみる
そんな小さな言葉の選び直しが、あなたの内側にある信頼の種を、少しずつ育ててくれます。
「今の私」を大切にするという選択
私たちは、「何者かにならなければ」と思いがちです。
でも本当は、今ここにある“わたし”を丁寧に見つめることが、人生のすべての土台なのかもしれません。
自己信頼は、成長の終着点ではなく、スタート地点です。
信じられるから進めるのではなく、“進みながら信じる”というプロセスを、何度も何度も、繰り返していくものです。
今日、どこかでふと立ち止まったとき、自分にそっと問いかけてみてください。
「私は、いまの私を信じられているだろうか?」
そして、どんな答えでもいいから、「そうか」と受け止めてあげてください。
その繰り返しが、“自分と生きる力”を育てていきます。