体を動かして感情を整える方法
私たちは、感情が心だけのものだと考えがちです。
「悲しい」「イライラする」「不安になる」——こうした感情は、確かに心で起きているように思いますよね。しかし、実は感情は心だけの現象ではなく、体と深く繋がっているのです。
「体と心はつながっている」という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
例えば、不安を感じているとき、呼吸が浅くなり、肩がこわばり、胃がきゅっと縮むような感覚がよくありますよね。逆に、楽しいときには顔が自然にほころび、肩の力も抜け、体が軽く感じることがあります。
このように、感情は私たちの体に「動き」として現れるのです。
つまり、感情と体はお互いに影響し合っているということ。今日はこの「体を通して感情を整える」方法についてお話ししていきます。
感情が乱れたときに、心を整えるだけでは足りない?
感情が乱れているとき、私たちはよく「心を整えよう」と試みます。
「落ち着こう」「考えすぎないようにしよう」「前向きに考えよう」——これらも大切な方法ですが、実はそれよりももっとシンプルで効果的な方法があります。それが「体を動かす」ことです。
難しく考える必要はありません。例えば、背伸びをしたり、軽くストレッチをしたり、外を歩いてみたり。
ほんの数分体を動かすだけで、心が驚くほど軽くなることがあります。
なぜ、体を動かすことが感情を整えるのか?
1. 呼吸が深まり、心身が整う
体を動かすことで、呼吸が深くなります。
これにより、交感神経と副交感神経のバランスが整い、心身がリラックスした状態に導かれます。
2. 動きによって感情を解放できる
怒りや悲しみ、不安といった感情は、体内にエネルギーとして溜まります。
体を動かすことで、そのエネルギーが滞ることなく放出され、感情が自然に解放されていくのです。
特に、ダンスやウォーキング、ヨガ、太極拳など、リズムのある運動は感情の解放にとても効果的です。
3. 「今ここ」に意識を戻す
思考がぐるぐる回っているとき、私たちは不安定になります。しかし、体を動かすことで自然と「今、自分が何をしているか」に意識を向けることができます。
これはまさに、マインドフルネスの実践と同じです。
私の体験:心を整えるより体を動かす
実は私も、感情が乱れてどうしようもない時期がありました。
仕事のプレッシャーや家庭での悩みが重なり、感情がぐちゃぐちゃになっていたのです。
どれだけ本を読んでも、瞑想をしても、気持ちが落ち着かなかったその時、ふと近所を15分ほど散歩してみました。
すると、どうでしょう。頭の中がスッと静まり、呼吸が楽になり、「まあ、なんとかなるか」と思えるようになったのです。
たった15分の散歩で、心が軽くなった瞬間でした。
この体験から、「心を変えようとするよりも、まず体を動かすほうが近道だ」と実感しました。
「エモーショナル・リリース」としての体の動き
最近、エモーショナル・リリース(感情の解放)という言葉を耳にすることが増えてきました。
これは、体を使って感情を解放する方法として注目されています。
セラピーの現場でも、トラウマやストレスが体に“記憶”として残り、それを体の動きで解放することで深い癒しを得ることができるとされています。
つまり、体は感情を抱え込んでいるだけでなく、それを放つ「鍵」も握っているということです。
日常でできるシンプルな体の動き
では、日常生活でできる「感情を整えるための動き」をいくつかご紹介します。
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朝起きたら、背伸びをして深呼吸を2〜3回。
これだけで、自律神経が整います。 -
デスクワークの合間に首や肩を回す。
肩甲骨周りを動かすだけで、気持ちがパッと明るくなることがよくあります。 -
帰宅後、音楽に合わせて体を動かす。
ダンスではなく、リズムに乗って体を揺らすだけでも内側の感情が流れ始めます。 -
散歩をしながら、呼吸に意識を向けてみる。
吸って、吐いて、歩いて、感じる。この繰り返しが心を整える立派な「儀式」になります。
まとめ
体と感情は常に繋がっています。
心が動けば体が反応し、体を動かすことで心も整います。
だからこそ、感情が乱れたとき、まずは「どうにかしよう」と悩む前に、体を動かしてみてください。
無理にポジティブにならなくてもいいのです。
滞っている感情を流すだけで、心はふっと軽くなります。
あなたも、小さな体の動きから始めてみませんか?