今日は健康を自分でデザインする、というテーマでお話ししていきます。

 

私たちの暮らしの中には、「健康にいい」とされる情報があふれています。栄養バランスを整えましょう、有酸素運動を習慣にしましょう、睡眠をしっかり取りましょう。──確かにどれも間違いではありません。

 

けれど、「本当にそれが今の自分に合っているのか?」そう問い直す視点を持つ人は、実は多くありません。今日は、そんな「自分にとっての本当の健康」を探るヒントとして、ホリスティックヘルスの基本となる2つの視点――全体性と個別性についてお話ししていきます。

 

 

全体性という視点:心、体、魂、環境…すべてが繋がっている

まず、「全体性」という視点。ホリスティックヘルスの語源である「ホリスティック(Holistic)」とは、“全体”という意味です。

 

健康を単に「体の調子」だけで判断するのではなく、心、感情、思考、対人関係、住まい、仕事、さらには人生の目的やスピリチュアリティまでを含んだ“統合的な存在”として、自分を見つめていく考え方です。

 

たとえば、ある人が肩こりに悩んでいたとします。マッサージを受けても良くならない。湿布を貼っても一時的。でもよくよく話を聞いてみると、仕事でずっと緊張状態が続いていて、呼吸が浅く、睡眠も浅い。感情を表現することも苦手で、無理を重ねていた。

 

こうした場合、肩のコリは「心のこわばり」が身体に表れたサインかもしれません。つまり、体だけにアプローチするのでは不十分で、心の状態や生き方のバランスを見直す必要があるのです。

 

これが、ホリスティックヘルスにおける「全体性」の視点です。不調を“部分”で捉えるのではなく、“全体”から観ていく。どこか一つが乱れると、他の部分にも影響を与える。逆に、ある一つを整えることで、全体が整っていく──そうした考え方なのです。

 

 

個別性という視点:あなたにとっての正解は、あなたの中に

次にご紹介するのが、「個別性」という視点です。これは、「健康の正解は人それぞれ違う」という考え方です。

 

「これが健康にいい」という情報があったとしても、それが万人に当てはまるわけではありません。たとえば、朝にランニングをして気持ちがいいと感じる人もいれば、朝はどうしても頭が働かず、むしろ静かに過ごすことで調子が整う人もいます。同じヨガのポーズでも、心地よさを感じる人もいれば、違和感を覚える人もいる。食べ物にしても、消化の力や体質によって、合うもの・合わないものは大きく異なります。

 

ホリスティックヘルスでは、「誰かの正解をコピーする」のではなく、自分の感覚や経験を通して、“わたしにとっての健康”を発見していくことを大切にしています。

 

 

全体性と個別性:あなただけの羅針盤を見つける

この「全体性」と「個別性」、一見すると対照的な考え方のようですが、実はお互いに補い合うものです。

 

全体性は、私たちに広い視野をもたらしてくれます。「自分は、体・心・魂・環境など多面的な存在なのだ」と理解し、バランスを整える意識が芽生えます。そして個別性は、その中で「自分にとっての最適」を探す羅針盤になります。広い視野の中から、自分らしいやり方、自分に合ったペース、自分にとって心地いい選択を見つけていくのです。

 

 

今日からできること:「今の自分にとって、何が心地よいか?」

では、今日から実践できるヒントをひとつ。

 

「今の自分にとって、何が心地よいか?」という問いを、日常に持ち込んでみてください。たとえば、朝起きて「今、体はどう感じている?」食事のあと、「お腹は満足してる? 苦しくない?」夜、「心が安心してる? まだ何か気がかりがある?」

 

この“ささやかな問いかけ”が、あなたの感覚を取り戻す練習になります。そして、その積み重ねが、あなたの中に「わたしらしい健康観」を育ててくれるのです。