与えることと受け取ることは、私たちの呼吸のようなもの

私たちは日々、誰かに与え、そして誰かから受け取りながら生きています。
それは物やお金だけでなく、言葉や態度、気持ちといった目に見えないやりとりも含まれます。

けれど、現代社会では「与えること」に偏ってしまったり、「受け取ること」に抵抗を感じてしまうことがよくあります。
特に真面目で優しい人ほど、与える側に立ち続けてしまい、自分が受け取るときに罪悪感を覚えることもあります。

でも本当は、この2つは同じくらい大切なもの。
呼吸のように、吐く(与える)と吸う(受け取る)の両方があってはじめて、私たちは健やかでいられるのです。

  


与えるだけ、受け取るだけ…では循環が止まる

もし与えることばかり続けていると、やがてエネルギーが枯渇します。
そうなると、優しさが義務感や疲れに変わり、本来の温かさを失ってしまいます。

反対に、受け取るばかりでは、自分の中に滞りが生まれ、感謝や分かち合いたいという自然な気持ちが弱まります。

だからこそ、与えることと受け取ることのバランスが大切なのです。

  


ボランティア活動での気づき

以前、私が関わっていたボランティア活動での出来事です。
ある参加者は、いつも周りのために奔走し、自分の時間やエネルギーを惜しみなく与える方でした。

しかしある日、その方が体調を崩し、活動を休むことになりました。
仲間たちは「今度は私たちの番」とばかりに、食事を届けたり、買い物を手伝ったりとサポートをしました。

最初、その方は何度も「大丈夫だから」と断っていました。
けれど、ある時ふっと笑ってこう言ったのです。

「こうやって受け取るのも悪くないね。」

その瞬間、場の空気がやわらかくなり、まるで全員の呼吸が深くなったような安心感が広がりました。

この経験を通して私は、「受け取ること」もまた、周囲に喜びや安心を与える行為なのだと気づいたのです。

  


美しい循環を育てる3つのヒント

  1. 見返りを求めずに与える
    「相手が喜んでくれるなら」という純粋な気持ちで与えると、エネルギーは澄んだまま流れます。

  2. 受け取るときは素直に感謝する
    「申し訳ない」よりも「ありがとう、嬉しい」と言葉にすることで、与えた人の心も満たされます。

  3. 与えることと受け取ることの両方を意識する
    「今日は何を与えたかな」「何を受け取ったかな」と振り返るだけで、この循環を感じやすくなります。

  


循環が広がるとき

与えることと受け取ることは、まるで愛と信頼のリレー。
一人が与え、一人が受け取り、その喜びが次の誰かへの優しさに変わっていきます。
こうして循環は広がり、私たちの心と社会をやさしく満たしていきます。

もし最近「与える」ことに偏って疲れていると感じるなら、今日は誰かからのサポートを素直に受け取ってみてください。
逆に、最近あまり人に与えていないと感じたら、小さなことで構いません、誰かに優しさを手渡してみてください。

その一歩が、美しい循環を再び動かし、あなたと周りを温かくつないでくれるはずです。