意識を向けた先に現実が変わる
わたしたちの毎日は、「現実」という言葉で満ちています。
仕事、家事、人間関係、ニュース、経済、病気……「これが現実だよね」と、多くの人が言います。
でも、その「現実」って、本当に誰にとっても同じものでしょうか?
同じニュースを見ても、ある人は希望を感じ、ある人は不安を感じる。
同じ言葉を聞いても、ある人はやる気が出て、ある人は落ち込む。
つまり、「現実」そのものがわたしたちを揺らすのではなく、
わたしたちが“何に意識を向けるか”が、体験する現実をつくっているとも言えるのです。
視点が変われば、現実も変わる
たとえば、朝起きて「今日は最悪だ」と感じた日。
目に映るものすべてがうまくいかないように見えて、ちょっとしたトラブルにも敏感に反応してしまう。
逆に、「今日は楽しみな日だ」と感じているとき。
同じ道、同じ空、同じ人がいても、なぜかすべてが味方に感じられる。
それは、現実が変わったのではなく、自分の“視点”が変わっただけ。
脳は「見たいもの」しか見ない
「見たいものしか見えない」という脳の働き、聞いたことがあるでしょうか?
たとえば、新しい車を買ったとたんに、街中でその車ばかりが目に入るようになる。
これは、脳が「その情報に意識のアンテナを合わせた」からです。
同じように、私たちの日常には無数の出来事が起きています。
でもその中から“何をキャッチするか”は、自分の意識しだい。
つまり、**意識を向けたものが、現実として“浮かび上がってくる”**のです。
意識を扱う3つの視点
では、日々をもっと心地よく生きるために、どんなふうに意識を扱えばよいのでしょうか?
ここでは、意識とのつきあい方を整える3つの視点をご紹介します。
1. 問いを変える
何かうまくいかないことが起きたとき、
「なんでこんなことになったの?」と考える代わりに、
「この出来事は、私に何を教えてくれているのか?」と問いかけてみましょう。
問いを変えるだけで、意識の向かう先がガラリと変わります。
それは、被害者ではなく“学び手”としての自分に戻るスイッチ。
問いが変われば、受け取るメッセージも変わります。
すると、行動も、未来の現実も、少しずつ変わっていくのです。
2. 今ここに意識を戻す
私たちの意識は、つい過去や未来に飛びがちです。
「あのときこうしておけばよかった」
「この先どうなるんだろう」
でも、現実がつくられるのは、“今この瞬間”の連続だけ。
だからこそ、深呼吸をひとつして、目の前にあるものに丁寧に意識を向けてみましょう。
たとえば、湯気の立つお味噌汁の香り。
風の音、鳥の声、足の裏が床に触れる感覚。
呼吸のひとつひとつを感じるだけで、“今という現実”との関係が変わりはじめます。
3. 選ぶ力を思い出す
「意識を向けた先に現実が変わる」とは、
つまり、「自分が何を見るかを選べる」ということ。
怒りや不安を感じたときも、その感情を否定せずに受けとめながら、
「私はどんな現実を育てたいのか?」と、自分に問いかけてみましょう。
そして、その答えに沿った小さな行動を積み重ねていく。
それが、自分の人生の“ハンドル”を取り戻すということです。
もちろん、私たちはいつも前向きに、ポジティブに生きられるわけではありません。
でも、「意識をどこに向けるか」は、いつでも自分で選びなおせる。
たとえ外側の状況が変わらなくても、内側の意識が変われば、感じる世界は確実に変わっていきます。
意識の力は「今ここ」にある
最後に、何より大切にしたいのは、
意識の力は「いま、ここ」にあるということです。
たとえ昨日までどんな自分だったとしても、
たとえ明日がどんな日になるかわからなくても、
この瞬間に、自分にやさしく問いかけ、意識をそっと戻すことができれば、
その先の現実も、きっとやさしく変わっていくはずです。
今日は、「#127 意識を向けた先に現実が変わる」というテーマでお届けしました。
どこか一行でも、あなたの心にそっと触れていたなら、とてもうれしく思います。
どうか、あなたの今日という一日が、意識の選びなおしによって、少しでもやさしく満たされていきますように。